★はじめに


平成19年4月25日 さくら母さんが虹の橋にお引越ししてしまいました。
10才3ヶ月、やっと「老猫介護・・・むーちゃんの場合」の年少組に入れてもらい、老猫会員291をもらったばかりだったのに。
これから年を重ねるごとに、いろんな病気になったとしても、先輩猫さん達に教えてもらいながら一年でも長く、年長組になってティアラをもらうまで一緒に居たかったのに。
あまりにも突然の事故でさくら母さんは、私たちをおいて逝ってしまいました。

悲しくて、さみしくて、ツライ・・・
何を見ても何をしても、涙が溢れてきてどうしようもなくて・・・
そんな時、あたたかくてやさしい言葉をたくさんの方々から頂戴しました。
ほんとうに有難うございました。心からお礼申し上げます。


あれから一年が経ち、そろそろ諸々のことに手をつけなければいけないと思い、以下の記録をここに残すことにしました。
さくら母さんが我が身をもって教えてくれたことを一人でも多くの人に伝えることができれば幸いです。

  
【 老猫介護・・・むーちゃんの場合のmoomamaがアイコンを作ってくださいました。
    お持ち帰りいただき、リンクしていただけるとうれしいです。】


★出来事 平成19年4月24日〜25日

24日
留守中(我が家では当時、さくら母さんとその子どもの梅吉君と小梅ちゃんの猫家族がずっと昼間留守番をしていました)にねこさんずが、何ヶ月も前からテーブルの上のかごに入れて置いてあったサプリメントの「αリポ酸」の袋を噛み切っていたずらして、部屋中にカプセルを撒き散らし転がして遊んだようです。
10歳と8歳のねこさんずですので、普段留守中のいたずらなどなく良い子で留守番出来ていましたが、この日、なぜかこの袋を破ってしまったのです。
夜勤明けの夫が昼過ぎに帰宅した時に、それを発見し、散らかっているカプセルを片付けました。
その時はまださくら母さんに異常はありませんでした。

PM5:00 さくら母さんの異常に気づいた夫から私の仕事先に連絡がありました。
何でも好き嫌いせずに食べるさくら母さんが、α-リポ酸を食べてしまったようで、嘔吐したあと、涎をたらしてうずくまっているとのこと。

仕事を抜け出して帰宅してみると、さくら母さんがmooちゃんハウス(やわらかいクッションハウス)に入ってうつろな表情でうずくまっていました。
食べ物にはうるさい梅吉君と小梅ちゃんには異常が見られません。

病院に着いたのがPM6:00過ぎ

ところが、さくら母さん、かごの中から「ウー!シャー!」猫パンチ!!! と、ライオンに豹変してしまいました。
《後に薬物中毒による興奮状態と解る》

先生に、α-リポ酸の穴だらけになった袋を見せて状況を説明しましたが、
「本猫がこの調子では手のつけようがない。
採血してみないと治療のしようがないが、採血するには麻酔をかけるしかない。
が、10歳3Kgという年齢を考えると、麻酔によるリスクが高いので安易にしない方がいい。」
「このまま様子を見て、今より状態が悪くなるようなら、麻酔の上採血・治療をする」となり、
一旦帰宅。

《この時点で、先生にはαリポ酸が猫にとって危険な物との認識が無かったと思われます》

PM6:30、部屋に戻っても籠から出る事もせず「ウー・シャー」と、興奮がおさまらず、私にも猫パンチをする。
私、仕事の途中で抜けてきたので、さくら母さんが気になるが、一旦仕事に戻る。

PM8:30帰宅、さくら母さん、籠から出て机の下で横になり相変わらず近寄ると「ウー・シャー」排尿有り。
けれど、自分で動く事が出来ない様子。
バスタオルで猫パンチを防ぎつつ、mooちゃんハウスにそっとお休み。
mooちゃんハウスの中でも、傍で物音がするたびに「ウー」と威嚇。

PM9:30、突然「アオー」という雄叫びと共にmooちゃんハウスから、横になったまま、のけぞって飛び出してきて、
逆エビ状態にそって手足を空中でばたつかせたり、後ろ足キックでぐるぐるまわりだす。の繰り返し。
「さくらちゃん!!」と声をかけても、錯乱状態。
病院に電話するも、応答なし。(都会と違って夜間救急病院がありません)
途方にくれているところに、先生から「電話、されましたか?」と電話あり。
状況を説明すると、「すぐに、連れてきてください。」との事。
さくら母さんを、籠に入れようとするが、手足をつっぱっていて入りきらない。
あいかわらず「ウー」と威嚇。
仕方が無いので、洗濯ネットに入れ(次に診察の時にはネット状の袋に入れておいて欲しいとのことでした)バスタオルに包んで大きな洗濯籠に入れて病院へ。

PM10:00、病院着。
待っていた先生が、さくら母さんの様子を見て、「出来るだけ軽い麻酔をします。」
もちろん、リスクがあることを了承のうえです。
夕方の診察のあと、α-リポ酸の成分や副作用を調べてみたとろ、
よだれが出たり、意識が朦朧としたり、痙攣をおこすことがある。とのことで、
さくら母さんの様子では、間違いなく食べているとのこと。
ただ、どれぐらい食べたかがわからないので怖い。
体重3kgのさくら母さんには少しの量でも致死量になる。
できることは点滴で、成分を身体の外に出してしまう事。
薬物中毒だが、中和させるものがない。
採血をして、点滴開始。
体温が下がってきているので、先生が500CCのペットボトルにお湯を入れタオルを巻いたものをさくら母さんのお腹に抱かせる。

プリントアウトされる血液検査のデータを見ながら、「血液濃度が高くなっています。」
諸々のデータを一つずつ説明してくれる。どれも、『H』が着いていて高い値である。
最後の一行を見て、先生が「血糖値が低い」と言ったまま突然作業にとりかかる。

自宅での開業医(30歳代)。夜間の為、助手がいません。
すべて、先生がひとりで病院中飛び回っていろんなものを出してきては、診察台に舞い戻る。といった具合。
一旦、入院ケージに収まって点滴をはじめていたさくら母さんの口に、先生の指につけたシロップを入れる。
点滴にもシロップを混ぜる。
そしてやっと、「低血糖をおこしています。後30分遅かったら駄目だったかもしれない」と。
「痙攣も低血糖からくるものだったのかも。」と。

しばらくして、もう一度採血。
幸い、血糖値は少し上昇。
ただ、低血糖による、脳浮腫・運動障害が残るかもしれない。と説明を受ける。

「今夜は、このまま一晩ずっと様子を見ています。何かがあれば、電話します。」とのことで、先生に任せて帰宅しました。

眠れない一夜を過ごし、朝9時に病院へ。
麻酔から覚めて、意識はある様子。が、横になったまま動かない。

上になった後ろ足が宙に浮いている。
「先生、あの後ろ足は硬直しているんですか?」
「いいえ、硬直ではありません。関節は軟らかく、動かす事ができます。本猫は動かしたいけれど、あれ以上動かす事ができないでいるのです。」
「さくちゃん」と声を掛けると、「ウー」と返事が返ってきました。
前に伸びている手が、グーパーグーパーと何かを掴もうとしている。

再三の血液検査のデータを見せてもらう。
昨夜の低血糖から糖分を投与して、平均より高めにしている。
白血球が多くなってきているのが、気になる。
治療点滴で少しでも早く中毒成分を身体から抜きたいが、電解質バランスが悪くなってきているので、電解質を整えつつの点滴に替えている。

一晩の間にα-リポ酸について色々調べた先生。
「α-リポ酸は代謝を上げる成分ですね。10歳の猫の身体はもうゆっくりの代謝でいいのに、急に代謝を上げることになり大変なことになっています。」

・・・はい。仰るとおり、α-リポ酸は基礎代謝を上げるものです・・・誰の?・・・私のです・・・さくら母さんではありません。

「油断の出来ない状態が続いている事に代わりは無い。何かがあれば連絡します。」
今日も仕事の私は先生にお任せして、今日の仕事場に。
携帯は「鳴りませんように」と願いながら常にポケットの中。

PM8:00、終業ぎりぎりで病院へ。
まだ、横になったままのさくら母さん。

血液検査の数字の上下変動が激しくて、安定しない。
肝機能数値も悪くなってきている。
まだまだ、予断は許さないとのこと。

それでも朝と比べて、手足の動きがよくなっている。
「さくちゃん」って、身体を撫でると横になったままだけれど、歩くように手足を動かす事が出来る。

「αーリポ酸の成分はもう抜けていると思う。」
「中毒によるダメージと後遺症が残るかもしれません」
「どこまで、回復出来るかは解らないが、出来るだけのことはしましょう」

先生にもわからないんですもの、さくら母さん!母さんパワーで復活してね!!
朝動かなかった手足が、夜には動くようになったんだもの。
明日になったら顔を上げることができるようになってるわよね。
瞬きできる様になってるわよね。
ちょっとづつ、機能回復していくのよね。



深夜、いろんな病気や介護の情報が寄せられる老猫介護のヘルパーステーション「お手てつなご」にさくら母さんのことを、書き込もうとしているところに電話が鳴りました。

「ずっと手を尽くしていたのですが、さくら母さんが今息をひきとりました。お役に立てずに申し訳ありません。」

先生???今なんておっしゃいました???
先生の言葉をすぐには理解できずに、いえ、理解したくなかった。
そして考えたこと。
今すぐさくら母さんのぬくもりのあるうちに迎えに行かなくっちゃ!!

先生は柴わんこのクーリーが心臓病になって手術をした時、
あっという間に元気にしてくれたから、
さくら母さんだって元気になって帰ってくるって、何の根拠もないのに思い続けていた私。

25日が26日になろうとしている頃、さくら母さんは先生が用意してくれた白地に花柄の素敵なベットに眠っていました。

26日夜 とても親切なペットサービスの方にお願いして、さくら母さんは虹の橋へお引越ししていきました。



★α−リポ酸に注意
※α-リポ酸は、人間にとって有用な成分ですが、ペット(猫や犬など)には、健康に悪影響を与える危険があります。これはペットの生理機能が人間とは異なるためです。ペットが誤って食べないよう充分ご注意ください。

製品の注意事項としてメーカーが今表示しているのは、とてもソフトなもの。
これを読んで、死に到る危険があると、認識できるでしょうか。
また、私が持っていた包装には上記のものよりもっと簡単な注意だったように思います。
「犬や猫の好む匂いがするため、誤ってパッケージを破らないよう保管場所に注意してください」程度の内容です。
さくら母さんの事があってから、ネット上にα−リポ酸を誤食して猫が亡くなる危険があると注意を呼びかけている先生がいらっしゃる事を知りました。
この事を、α−リポ酸を手にした時に知っていたなら、大切なさくら母さんを失うこともなかったのに。
私自身の不注意を、後悔してもしきれなくて。
さくら母さんに、謝っても謝っても謝っても・・・・・帰って来てはくれなくて。

お願いです。α-リポ酸をお持ちの方は猫の手の届く場所には置かないでください。
そして元来ねこは犬とは違い、個々に嗜好が様々で好き嫌いがありますが、もし誤って食べてしまったときには一刻も早く身体から成分を抜いてあげてください。
早い処置が、小さないのちを救えることを覚えておいてください。


★さくら母さんから皆さんへお願い
   
  「私は、食べ物に好き嫌いのない良い子でした。
  ママの留守中に梅吉君がいたずらして、α−リポ酸の袋を破って遊んでいたのよ
  床に転がっていたので、ちょっと味見してみたらおいしかったので、たべちゃったわ。
  いくつ食べたかは覚えてないの。困ったわね。
  あのねα−リポ酸って、私たちが食べちゃいけないんですって。
  若い子はまだ助かることがあっても、私みたいに10歳すぎちゃってると危険なんですって。
  それでも、ママと先生はなんとか私を助けようとしてくれたんだけど、私がんばれなかったわ。
  とっても突然の出来事だったので、みんなに『さよなら』もうちの子に『いい子にするのよ』も言えなかったの。
  だから、私からお願いがあるの。
  わたしみたいに、皆さんのかわいい子がα−リポ酸を食べちゃいけないって知らずに食べちゃわないように、
  よ〜く覚えておいて欲しいの。
  そして、まだこのことを知らない人に教えてあげて欲しいの。
  ママはいつまでも、私に『ごめんね。ごめんね。』って言ってくれるけど、
  『ごめんね。』の代わりに私の事をみんなに教えてあげてって、お願いしたの。
  ね、わたしからのお願いです。
  α−リポ酸は、数kgしかない私達が食べてしまうと命を無くす場合があります。
  絶対に、手の届くところに置かないで。お願いします。」 
                                                    さくらより